緊急事態宣言とリモートワークの暮らしについての雑感

緊急事態宣言を受けて、チーム全員がアルバイトさんも含めてフルリモートワークになった。大きく日々の暮らしも変わったので、現状のスナップショット的な雑感を書いておきたいと思う。

ぼくの所属するチームは、ぼくが入社した頃からすでにリモートワークへの対応がなされていた。当時、在宅勤務のメンバーが1人いたし、東京オフィスと京都オフィスにそれぞれメンバーが在籍するチームだったので、日常におけるワークフローはリモートですべて実行できる形になっていた。

カンファレンスでリモートワークについての知見を共有するような発表も何度も行ったし、自分たちはリモートワークという仕事のやりかたをそれなりに乗りこなしている、という自信があった。しかし、今の緊急事態宣言下におけるフルリモートワークは、少しばかり勝手が違うことに気づく。

まず、チームメンバー全員が在宅勤務が可能な環境であるとは限らないことが大きい。たとえば、フルリモートワークに完全に舵を切っているチームであれば、メンバーは自宅に机、椅子、高速なインターネット回線など仕事をするための環境を自宅に整えているだろう。チームの採用にしても、リモートワークを前提とした選考を経て配属がなされているはずなので、メンバー全員が覚悟をもってリモートワークに取り組めるはずである。しかし我々はそういうチームではない。

人によっては在宅勤務を前提とした雇用になっていて、自宅に設備も整っていたりもするが、メンバーの中にはオフィスワークを前提に身の回りの環境を整えている人もいる。そういう各々の環境や考え方にグラデーションのある状態のフルリモートワークは、長期化すればするほど難しい。かくいう自分も、スポットで自宅で仕事をすることはあっても、平日の多くはオフィスで仕事をするつもりで暮らしているので、仕事用の机や椅子などの用意はない。かろうじて、オンラインゲームを快適に遊ぶための高速なインターネット回線が功を奏しているという感じ。

とはいえ、緊急事態宣言が発令されて、その少し前くらいから、チームメンバー全員のフルリモートの体制を整えよう、という決断をし、SREを中心として環境の構築にとりくみ、素早くフルリモートへの移行が完了できたことは誇って良いと思っている。以前からワークフロー自体はリモートでの実行が可能であったこともそうだし、とりあえずやってみて、なにか困ったことが起きたら、その都度解決しておけばよい、というスタンスで日々さまざまな困難と向き合っている。たとえば、アルバイトメンバーは社員に比べて自宅からアクセスできる範囲にかなり強い制限があるが、それならそういうものと割り切ってアクセス可能な範囲内でできる仕事をしてもらえばよい。

メンバーにしても、たとえば子育てや介護など、さまざまな事情により、これまでオフィスに通っていたときとは異なる仕事への関わり方にならざるを得ない場合もある。それも、それならそういうもの、として仕事の割当ややり方を考えればよい。この状態はおそらく長期化すると予想しているので、この1ヶ月無理して乗り切る、という考え方ではだめで、いかに長期間に渡って持続可能なペースを見つけるか、ということが重要だと考えている。いちおうマネージャーとしては、チームの生産性指標(d/d/dなど)を、フルリモートワーク前と比較できるように計測しはじめているのだが、これはあくまでも自分たちの状態を把握するために測っているのであって、フルリモート前と同一の数値を維持することは目的としていない。当然差が出るものと思っている。その差を正しく捉えて、自分たちの状態を把握し、今の自分達に何ができるかを考えるための指標として扱うつもりだ。

ちなみにワークフロー自体は以前からリモートワークに対応していることもあり、プロダクトの運用そのものに大きな懸念はない。いい機会だから、全員フルリモート体制化における障害対応の演習をしてみましょう、と計画したりしている。

毎日ちょっとずつ、今までになかったいろいろな発見や課題があるが、別にフルリモートでなくても日々課題はあるものなので、いつもと同じ仕事として取り組んでいこうと思っている。

リモートワークと家族

最近の感染症対策による社会情勢で、リモートでの対応が可能なものはそうしましょう、という雰囲気がある。

ぼくもここ数日、特に会社に行く強い必要性がない日は、通勤による感染リスクを気にして自宅で仕事をしている。通勤する場合は40分ほど電車に乗る必要があるので、混雑はしていないにしてもまぁまぁ気になるからだ。

自分が所属しているチームはリモートワークは慣れたもので、フルリモートの人も1人いるし、他のメンバーも日によってはぼくのようにスポットで自宅で仕事をすることもある。

職場だけではなく、たとえば自分がスタッフとして関わっているカンファレンスや、コミュニティのミーティングなどは、リモートで開催されることが多い。そもそもスタッフの居住地が日本全国に散らばっていて、物理的に集まることが難しいからだ。これももう慣れたもの。

このように、リモートでの仕事やミーティングにはなんの抵抗もない、と思っていたが、一点最近困っていることがある。それは家族との調整だ。

ぼくはあくまでも普段は会社に通っていて、なにか特段の事情がある場合にのみスポットでリモートワークをしている。なので、家にリモートワーク専用の部屋や書斎的な場所を設けていない。リビングのいつも座っている場所で、ラップトップを膝の上において仕事をしている。当然、時間帯によってはすぐそばに家族がいる。

カンファレンスのオンラインミーティングなどは夜間に開催されることも多いので、家族の隣でイヤホンをしてミーティングすることなどは別に珍しくはないのだけど、時間帯によっては少し困ることがある。食事の時間だ。

これまで、家族の食事の時間とオンラインミーティングが重なる場合は、だいたいは平日なので会社に残って自席とか、定時後の会議室を少し借りて対応するなどしていた。ところが、最近は社会全体のリモート割合が増えたことで、自宅ワークの日に食事時間帯にオンラインミーティングが発生する、みたいなケースが生じはじめている。さすがに家族が食事をしているそばでミーティングをするのは気がひけるので、どうしてもという場合は食事の時間をずらしてもらったり、もしくはミーティングの方をキャンセルする、という形になる。

幸い我が家には半分倉庫みたいになっている部屋が一部屋あるので、あそこを書斎にしたほうがいいのかなー、というのを最近悩んでいる。

感謝をちゃんと伝えようと最近思いつつ暮らしている

弊社は2月1日から2020年度の下期がスタートする。1月の末に上期を締めくくる納会があった。

その後の懇親会で、半期自分のメンターをしてくれていたシニアエンジニアに、半年間の定期1on1がとても助かっていました、と感謝の気持ちを述べた。

日々、チームのディレクターとして暮らしていると、自分の仕事で本当にメンバーが助かっているのか、とても不安になることがある。自分が技術的にとてもリスペクトしているエンジニアとの1on1は、毎回とても緊張する。自分より能力の高い(と自分では思っている)人のメンタリングを上手にできるのだろうか。相手に無駄な時間だと思われていないだろうか。そう思ってしまうことがある。

半期、ぼくのメンターをしてくれていたシニアエンジニアの人も、ひょっとしたらぼくが日々思っている不安を抱えながらメンタリングをしてくれていたのかもしれない、とふと思ったのだ。ぼくはプロダクトの開発チームのディレクターと、アプリケーションエンジニアの職種を兼任している。シニアエンジニアの人は、アプリケーションエンジニア職としてのぼくに対するメンターだったわけだが、一方でぼくは開発チームのディレクターでもあるわけで。エンジニアの帽子をかぶっている人がディレクター職の人に対してメンタリングをやるというのも、相当な緊張感があっただろうとも思う。

なので、自分に対してなにか働きかけをしてくれている人は、それが本当に役に立っているのか、きっと手探りだと思うので、役に立っています、とちゃんと伝えようと思って最近は暮らしている。伝えるタイミングというのもなかなか難しくて、まだ伝えられていない人もたくさんいる気がする。

2019年の振り返り

年末なので振り返ります。

去年はこういう感じでした。

daiksy.hatenablog.jp

今年は本厄ということで、どんなひどい目にあうのかと戦々恐々としていましたが、自動車に跳ねられたり地震や台風に被災した去年と比べれば、ずいぶん落ち着いた一年でした。

あとはトマルバさんやチャットワークさんからお仕事をいただいたり、副業が充実していました。

1月

本厄なので厄払いにいったりDJしたりしました。

smtppp.club

毎年この時期は評価で仕事が忙しい。今年は「すくすく開発会」という、全社横断的な活動を立ち上げたのですが、なんとなくこの頃から活動がはじまっていたようです。

2月

今仕事を一緒にやっているアイレットさんから、インタビューを受けました。インタビュー仕草が完全にわからなくて難しかった...。

cloudpack.media

3月

ルービックキューブの競技会に初参加しました。

www.worldcubeassociation.org

この時期くらいからチャットワークさんのお手伝いをしはじめて、インターン企画や評価制度づくりのお手伝いやなどをしていました。

認定スクラムマスターもこの時期に取得しました。

www.scrumalliance.org

4月

ぼちぼち暮らしていたみたい。

5月

京大の超交流会で、機械学習についての座談会に出ました。

www.johogaku.net

SanSanさんのイベントにご招待いただき、登壇しました。

6月

DeLOVE10周年イベント招待いただき、登壇しました。 daiksy.hatenablog.jp

7月

JaSST Kansaiに招待いただき、登壇しました。

8月

ライジングサンロックフェスティバルに行くも、台風で初日が中止に...。

ビルコンで2年連続登壇することができました。 daiksy.hatenablog.jp

www.youtube.com

9月

副業として、enPiTという学生向け事業のお手伝いをしました。

aibic.enpit.jp

3日間の合宿のファシリテーションをしたのですが、自分自身にとっても学びがある良い機会でした。

10月

のんびり暮らしていました。

11月

ハッカーズチャンプルーさんにご招待いただき、登壇しました。

daiksy.hatenablog.jp

人生初の沖縄で、めちゃくちゃ楽しかったんですが、直前に5日間ほど寝込んでしまい、登壇時に息切れして少しお見苦しい感じになってしまいました。トーク自体はご評価いただけたようでよかったです。。。

12月

Mackerelの5周年イベントをやれたのが良かったです。

mackerel.io

もう5年もこの仕事してるのかー。

来年にむけて

来年は後厄ですが、デブサミの登壇が決まっていてまぁまぁ幸先がよいです。

event.shoeisha.jp

公募に申し込んだところ、招待枠に格上げしていただきました。 がんばります。

来年は、はてな在籍6年目で、小学校に並んで人生で一つの組織に所属する最長記録に並びます。デブサミでも「10年つづくプロダクト」みたいな話をするわけなので、もうしばらく今の仕事を続けようと今のところは思っています。

今年はたくさん副業の機会があったのですが、少し落ち着きそうなので、お仕事の相談お待ちしています。あと書籍とか出したいですね。ノープランですが。

会社では、全社横断的に開発プロセスを整備していく組織を立ち上げることができ、一つの達成感があったので、来年はさらにそれを進化させたいかな。

ハッカーズチャンプルー・アンカンファレンスで登壇しました

ハッカーズチャンプルー・アンカンファレンスで登壇してきました。

hackers-champloo.org

沖縄を代表するイベント、ハッカーズチャンプルーにご招待いただき、登壇してきました。

内容はbuildersconの再演です。

講演後もいくつか質問をいただいたり、良い発表だったとお褒めの言葉をいただきました。ありがとうございました。

実は人生初の沖縄で、それも相まってとても楽しいイベントでした。

学生や社会人が入り乱れたまさにアンカンファレンスという雰囲気のセッションだったり、地元の交通情報をオープンデータ化してGoogle Mapで経路検索ができるようになった話など、地方のイベントで、きちんと地方の課題が議論されている様子がとても良いなぁと思いました。

来年もタイミングがあえば、自腹でも良いのでぜひ参加したいと思いました。

builderscon tokyo 2019で登壇してきました

去年に引き続き、2年連続でbiildersconに登壇しました。

builderscon.io

今回は、昨年から少しこだわって取り組んでいた「機械学習プロジェクトのマネージメント」について発表させてもらいました。

speakerdeck.com

持ち時間のうち、後半の10分ほどを質疑応答の時間として残すように調整したのですが、持ち時間いっぱい使い切るくらい熱心に質問をいただいたり、その後も休憩スペースやアフターパーティなどでも積極的に質問をいただけて、スピーカー冥利につきるとての楽しい時間を過ごすことができました。

前厄・本厄の2年連続でプロポーザルを採択してもらいましたので、どうせなら後厄の来年も採択してもらって三部作を完結(?) できるようにがんばります。

とても素晴らしい場を提供いただいた、スタッフ、スポンサーの皆さんどうもありがとうございました!!!

しかし、実はまだ家には帰れなくて、このまま明日三浦海岸に移動して、3日間enPiTという学生向け事業のお手伝いをすることになっているので旅はまだ続くのじゃ!!!!

さて、次の10年はなにをやろうか - DevLOVE Xで登壇してきた

devlove.wixsite.com

DevLOVE10周年(実際は今年は11年目だけど)を記念するイベントに呼ばれてお話してきました。

今年の2月に開催されたスクラムフェス大阪の懇親会で、新井さんから今度こういうのやるので話してください、とお声がけいただいたのだった。

この10年というのは、自分にとってもちょうどコミュニティ活動をはじめたり、キャリアに大きな変化があったりと印象的な10年だったので、その経験などを踏まて次のような発表をしてきた。

タイトルの「インターネット」「スマートフォン」は、それぞれ自分が携わる業界によって適宜読み替えてもらえば良い。人によっては「クラウド」とか「コンテナ」とか、「電気自動車」みたいなものもあるかもしれない。

自分は今、業界歴18年になるのだが、20年近く働いていれば、自分が新卒だったころには想像もできなかったような技術革新が1, 2回は必ず訪れるし、そのためにはそういう世の中の変化にうまく自分のキャリアや知識をアップデートしていかないといけない。定年まで働くとしたらまだ20年くらい残っているので、たぶんあと2, 3回は世界が変わるはず。

ちょうど、機械学習プロジェクトを仕事で扱うという体験をして、これはまさに世界の変化に対して自分をアップデートしたわかりやすい事例だな、と思ったので、これを事例として発表した。

10年前はプログラマとして新しい技術を学習したし、今はマネージャとしてそれをやっている。立場が変われば学習の解像度も変わるので、そのあたりをうまく見極めましょう、というのが言いたかったこと。

DevLOVE 10年

上のツイートが思いの外たくさんlikeされてた。

この10年、いろいろ悩みながら暮らしていて、ふと気づくとDevLOVEのこんな大きなイベントに呼んでもらえるようになっていた。 スピーカー控室で周りを見回すと、同年代の、同じようなキャリアを刻んできたおじさん達がたくさんいて、「なんかこの10年、ぼくたちがんばったよねー」みたいな気持ちになった。

LT大会では20代の若い人たちが、10年前のぼくらがやったように飛び込みで200人の前に立っている。

さて、次の10年なにをやろうかなー。