入社直後の新任マネージャーの暮らし

今の会社に入社してから10営業日目を迎えました。

前回の転職のときにも書きましたが、マネージャーとしての転職は、他の職種とは違った難しさがあるのを実感する日々です。

マネージャーの仕事は、社内の人々からさまざまな期待をされる役割ですが、リモートワークということもあっていまいち何をしているのかみんなには伝わりづらい仕事です。そこで、毎日日報を書いたり、社内チャットの分報チャンネルにこまめに雑談も含めて吐き出したり、グループウェアに文章を書いたりしています。

このような入社直後のマネージャーの様子を、社内向けにグループウェアに投稿した文章をアレンジして書いておこうと思います。世の中の新任マネージャーの参考に少しでもなりますように。

どういう役割として入社したか

はてなでは、組織・基盤開発本部エンジニアリングマネージャーという役割をもって入社しました。

はてなは、はてなブログやMackerelなど複数のプロダクトを運用しており、それぞれに専門のチームがあります。各チームにはエンジニアやデザイナー、セールスなど、プロダクトを運用するために必要なさまざまな役割の人が所属します。

それとは別に、エンジニアやデザイナーといった専門職の場合、その職種の人々が横断的に所属する専門職グループがあります。いわゆるマトリクス型の組織です。

https://speakerdeck.com/hatena/engineers-recruitment

ぼくは、はてなのエンジニア全員が所属する技術グループの専任のエンジニアリングマネージャー(以下EM)として採用されました。はてなでは初めて設置されたポジションです。

今何を考えて仕事をしているか

入社して最初の仕事として、エンジニア全員との1on1を開始しましたが、まだまだはじまったばかり。

今は毎日CTOと1on1をして、いろいろなことを教わったり、まずは小さい仕事を受け取ったりしています。 技術グループのような組織横断的な集まりを支援するマネージャーの仕事は、人事や採用が重要です。前職でもそこは多く経験したところなので、こういった自分にとってやりやすいところから仕事をやりはじめています。

新しく就任したマネージャーは最初の100日間がとても重要だとよく言われます。アメリカ大統領は、最初の100日間でまずは短期的な成果を出して国民の信頼を得ることを意識するそうです。

ヤフーの元社長で、東京都の副知事である宮坂さんが次のような文を書いています。

note.com

ぼくが前職でマネージャーとして採用された最初の生活の様子を思い出すと、とても共感します。

daiksy.hatenablog.jp

要するに、自分が所属する組織のカルチャーを何も知らないうちから、戦略だのビジョンだのぶち上げるな。まずは観察に徹して文化を学べ、ということです。

新任マネージャーは基本的に自分が仕事をする環境について何も知りません。宮坂さんも「組織内で最も無能なのに最も期待される」状態だと書かれていますが、まさにそのとおりです。この状態のマネージャーは、仕事の手がかりを外にしか持っていません。何かしらの本に書かれていた一般的にベストプラクティスとされるもの。過去の組織での経験。などです。

これらを手がかりに、最初から大きなビジョンや戦略を描くとたぶんあまりうまくいきません。実際にそれでうまくいかなかった人を何人か知っています。

既存の組織の文化を知らずにビジョンを語っても、ただの現実と乖離した空虚な理想論にしかなりません。既存の組織を一度全部破壊して、ゼロから再構築するのだ、というミッションが自分にある場合のみ、それをやればよいのですが、それは自分がはてなでやりたいことではありません。

幸いぼくは出戻りなので、完全に新規に入社した人と比べると多少ははてなに対する理解を持っています。とはいえ3年のブランクをあまくみてはいけないと思っています。

このような考えから、最初の100日間。わかりやすく、試用期間の3ヶ月間と自分で定めているのですが、この期間はできるかぎり観察に徹しようと思っています。とはいえ、その間なにもしないというわけではなく、小さな成果を積み上げられるような仕事を中心に取り組んでいきたいです。

エンジニア全員1on1をやりはじめて、自分の技術グループに対する理解が少しずつ立体的になっているのを実感しています。 5月の末には、合宿を予定しており、そこで技術グループとしてのバックログをつくり、技術グループ専任EMとしてぼくがバックログのオーナーとなるつもりです。

このあたりが進み始めると、少しずつ技術グループEMとしてやるべきことが浮かび上がってくるかなと思っています。そうするとようやく所信表明などを展開できるようになりそうです。

短期的な小さな成果を積み上げながら、大きな成果は今の学習期間が落ち着いてからの、長距離走の中で出していきたいと思います。