2024年5月1日から、株式会社はてなで組織・基盤開発本部のエンジニアリングマネージャとして働き始めました。
2014年から、2021年まで社員だった時代があるため、いわゆる出戻りという形になります。
一度退職した会社に再び入社する、というのは、通常の転職活動と違った悩みなどもあり、自分も今回の転職に際して「アルムナイ採用」などのキーワードでいくつか参考にした記事がありました。
最近は身近な事例も耳にするとはいえ、まだまだ通常の転職と比べてアルムナイ採用は例が少ない気がするので、せっかくなので体験記を書いておこうと思います。
基本的には自分の個別の事例ですので、世間一般のアルムナイ採用の実態とは異なる箇所もあることをご承知おきください。
戻ろうと思ったきっかけ
もともと最初にはてなを辞めた理由が、自分の新しいキャリアを志したチャレンジという側面が強かったため、辞めた直後からなんとなく「機会があればまたはてなで働きたいな」というのはほんのり思っていました。
その後、具体的にはてなの選考を受けることになる最初のきっかけは、とある転職支援サイトでのスカウトでした。
前職での仕事が一区切りついて、転職を検討しはじめた最初に、いくつかの転職支援サイトの転職意向ステータスを変更しました。そのうちの1つで、ステータスを変更して1時間も経たないくらいのタイミングで、はてなからのスカウトを受けました。
スカウトをくれた人は、もちろん自分が過去にはてなで働いていることをご存知でしたし、自分もその方とは面識がありました。ただ、この時点ではまだ迷いのほうが大きく、具体的な話を聞くかどうかは迷っていました。
もともと働いていたことがある、とはいえ、戻りたいと表明して無条件に戻れるわけではありません。自分が活躍できるポジションが空いているか、その期の採用計画はどうなっているか、など通常の中途入社と同様のハードルが当然存在します。出戻りの場合は、それに加えてさらに変数が増えるのではないかと思います。端的に言えば、喧嘩別れした人を快く迎えられるかということ。もちろんそんなことはないでしょう。
自分は、円満に退職をしたつもりではいますが、実のところどうであるかはわかりません。
スカウトをいただいた、ということは少なくとも悪い印象は持たれてはいないだろうと思いましたが、それでも不安はありました。
ただ、はてなとは退職後もエンジニアコミュニティや、いろいろな企画で継続的に関わることも多く、こうしていろいろと接点を持ってくれるということは、大丈夫なのかもしれないな、という気持ちもありました。
そこで、退職後もたびたび連絡を取り合っていた親しい社内の人がいたので、応募する前にその人に相談することにしました。その方がぜひチャレンジしてみてください、と背中を押してくれたのが、最終的に選考に応募する決め手となりました。その後、その人の手引でカジュアル面談をセッティングしてもらい、そこでの会話の内容でさらに意向が高まり、通常の採用フローに入っていった、というのが一連の流れでした。
採用フローで注意したところ
いろいろな悩みを乗り越えて、いざ採用フォームから応募すると、ここからは通常の選考がはじまります。
自分としては、採用フローで特別扱いなどは決してせず、できれば通常よりも厳しめに見てほしいと伝えました。
自分の場合は2021年に退職してから、3年のブランクがあります。この3年間の成長(あるいは停滞?)が、入社後の期待値に大きく影響しており、最も入社後のギャップが生まれやすいポイントであるだろうと考えたからです。
よく知っている環境に戻り、同僚も自分のことをよく知っている。その状況でいざ仕事をはじめると、なにか思っていたのと少し違う...。この状況になってしまうことが自分にとって最も恐ろしいことでした。
特に自分の場合はマネージャとしての採用になるため、仕事の多くが目に見えづらい物事を扱う仕事となります。マネージャの採用で期待値にずれがあると、担当する組織全般に悪影響を及ぼします。通常の中途採用でも期待値を揃えることに細心の注意が必要な職種ですから、出戻りとなるとさらに慎重を期す必要があると考えました。
最終的に内定のオファーをいただいたあとも、その返事をする前に自分の入社後のイメージをドキュメントとして渡し、ギリギリまで期待値にずれがないかを確認しました。
入社後のあれこれ
いざ入社するにあたって最初に考えたことは、頭の中をいったんリセットしよう、ということでした。
3年の間に新しく入社した人も大勢いるため、出戻り感を出しすぎるとよくないことがたくさんあると思うからです。当然自分が知らないこともたくさんありますから、いったんはすべてリセットして、通常の中途入社の気持ちで仕事にあたろうと思いました。
いざ仕事をはじめてみると、自分が入社前に想像していた以上に忘れていることが多く、まったく勘も働かないため、普通にリセット状態でした。とはいえ油断せず初心の気持ちを心がけています。
他にもおもしろいエピソードとしてはこんな話も。
以前長く勤めていた会社へ出戻りをして社内ドキュメントを眺めていると、10年前のまだ未熟だったころの自分の文章などが掘り起こされて、実家の机の引き出しの奥から発掘された日記を読んでいるような、黒歴史感のある気恥ずかしさを感じる...。
— だいくしー (@daiksy) 2024年5月2日
出戻りをした人間は、その会社の退職当事者として、退職処理などに対する率直なフィードバックが可能な激レア人材ということが判明したのであるが、問題はもうぼんやりとしか覚えていないということ...。
— だいくしー (@daiksy) 2024年5月7日
これは会社によってケースバイケースですが、業務に使用する各種アカウントなどが、新規作成ではなくサスペンドからの復帰、として扱えたものがいくつかありました。たとえばSlackの分報チャンネルであるtimes_daiksyはアーカイブから復帰できたので、3年前の投稿の続きから復帰できており、おもしろいです。
さいごに
自分は、今回社員としてはてなに出戻りをした第一号となりました。自分の近況を知ってくれた卒業生の皆さんの中には、「おっ」と思われた人もいらっしゃるかもしれません。
ちょっと気になるなぁという方は、自分が体験談も交えて相談相手になれるかなと思っていますので、お気軽にお声がけください。