マネージャーの「最初の100日」でやるべきことを四象限で考える

昨日、こういうエントリを書いた。

daiksy.hatenablog.jp

マネージャーとして入って最初の100日は観察を主軸にするのが良い。その後仕事をしはじめても、組織のカルチャーが体に馴染んで課題が腹落ちしはじめるまでは半年かかる。という内容だ。

このエントリに対してはてなブックマークでコメントをいただいた。

それはそうなんだけど、たぶん100日間もそんな態度だとリストラ候補になるんじゃないかな。

たしかにねーーー。 さすがに100日間何もしていないわけではないので、言い訳がましくやったこととやらなかったことを書いておく。

マネージャーの仕事の影響範囲は広い。組織を横断する範囲を管掌するとなるとなおさらだ。そのようなマネージャーの仕事は、時として組織に破壊的な変更をもたらすことがある。そのような変更を、対象となる組織のカルチャーや歴史を理解していないうちにはじめてしまうと、大きなハレーションが起きるのは当然のことだ。

意図的に、既存組織を大きく作り直したい、というミッションを受けて就任するマネージャーなら、あえて就任直後に大鉈をふるうこともあるだろう。その場合は当然既存カルチャーが大きく変化することになるため、既存カルチャーに親しんでいた従業員の大量離脱など、組織が根こそぎ変わることを覚悟しなければならない。

今回自分はそういうミッションを受けていないので、既存カルチャーを尊重しつつ変化を起こすことを選択した。

短期的な成果にフォーカスする

そのための「最初の100日」の観察なわけだが、もちろん観察と1on1だけをして過ごしていたわけではない。 新しいマネージャーがやってきたことによる、改善や組織の変化を、ある程度メンバーには実感してもらって、マネージャーとしての信頼を貯蓄していく必要がある。そのため、観察しているだけではなく、短期的な成果を得ていく必要もある。

自分は、次のような四象限をイメージして最初の100日間の仕事に取り組んだ。

最初の100日で意識した四象

このような四象限でよくあるのは、「重要度」と「緊急度」であるが、緊急度が高いものをやらないといけないのは自明であって、マネージャーの100日間の過ごし方とは関係がないので、ここでは「難易度」を考えた。

対応方法や解決までの道のりが易しいものは、既存の枠組みの変更は軽微であるということだ。逆に難しいものは、既存のやり方を大きく変える必要があったり、関係各所への丁寧な調整が必要だったりするものである。

つまり、最初の100日の間は重要で易しい課題に積極的に取り組み、まずは短期的な成果を積み上げることを意識した。

難しい課題に着手するのは、充分に信頼を得て、カルチャーや既存の組織の枠組みや歴史を理解してからだ。

既存のカルチャーや歴史をリスペクトする

もうひとつ注意したのは、最初のうちは「自分1人で意思決定をしない」ことを意識した。何かを考えたり、変更を検討したりした場合は、必ずCTOや他のEMたちのレビューを受けてから実施するようにした。

レビューでわっと熱量があがったり、コメントをたくさんもらえたりするというのは、それだけこれまでの歴史を支えてきた人たちが大切にしているものだからだと思う。そういうものを蔑ろにして、自分の判断だけで押し切ってしまうと、それがカルチャーの破壊につながる。もちろん、最終的には壊すべきカルチャーもあるのだろう。必要なのは、そのカルチャーに対して、ちゃんとリスペクトすることである。それを欠くと、信頼は失われ、組織を悪い意味で破壊してしまうことになるのだと思う。

課題に腹落ちしてきたらそろそろ難しい課題を考えよう

こういったことを繰り返していくことで、組織のカルチャーや歴史が馴染んできて、いろいろな課題が「腹落ち」するようになる。 さて、ここからようやく本腰を入れて、「難しい」課題に取り組んでいこう。このころには助けてくれる仲間もたくさんいるはずだ(たぶん...)。