読むだけでビールがおいしくなる本 - 白熱ビール教室 -

白熱ビール教室 (星海社新書)

白熱ビール教室 (星海社新書)

『白熱ビール教室』を読んだ。

これはビールが好きな人も、そうでもない人も、ビールを飲む機会のあるすべての人が読むべき本である。

ぼくが友人にベルギービールを教えてもらったり、クラフトビールに興味を持ちだした頃、ちょうど『もやしもん』のビール編がまとめられた8巻を読んで、ビール醸造についての知識を得た。

もやしもん(8) (イブニングKC)

もやしもん(8) (イブニングKC)

その後、ビールに詳しい友人だったり、行きつけのビアバーや酒屋さんなどから少しずつ学んで、ビールに関する様々な知識を蓄え、ビールを楽しむことがひとつの趣味となっていった。

『白熱ビール教室』は、我々ビール愛好家が長い年月をかけて得てきた知識を、たったの数時間で網羅することができる究極の一冊である。

この本の素晴らしいのは、単にビールに関する知識が得られる、ということだけではない。

様々なビールのスタイルごとに、そのビールはどういう味わいがあって、どのように飲めば美味しく飲めるのか。そのスタイルを飲む際にはどのような香りがあって、どのような部分が強調されているのか。そのようなビールの味わい方を知ることができるのである。

ちょうどこの本を読み終えた日の夜。ぼくは機会があって、とあるお店でピルスナー・ウルケルを飲むことになった。そういえばと『白熱ビール教室』の記述を思い出し、まずはプロの手によって注がれたビールの泡のきめ細やかさを楽しみ、芳醇な香りを楽しみ、キレのある飲み心地を楽しんだ。

これまで何度も飲んだことのあるピルスナー・ウルケルであったが、その夜に飲んだ一杯が人生でいちばん美味しかった。

読むだけで、翌日から飲むビールが格段においしくなる本。ぜひご一読されたい。

白熱ビール教室 (星海社新書)

白熱ビール教室 (星海社新書)

極めてリアルな日本が描かれるシン・ゴジラがあえて逸脱したアンリアルのさじ加減

shin-godzilla.jp

このエントリにはネタバレがあります

シン・ゴジラがあまりにもよかった。

もともと、庵野秀明エヴァンゲリオン!) & 樋口真嗣平成ガメラ3部作の特技監督!)の組み合わせ(『巨神兵東京に現わる』!)のゴジラ、ということでおもしろくならないはずはないのであるが、最初は公開されてから世の中の評判などを見てから観に行こうかな、と思っていた。

ところが、ぼくのTwitterのタイムラインにこれが流れてきたのである。

ああ、これは絶対今すぐに観ないといけないやつだ、と思ってその場でチケットを予約した。

意味がわからない人は『アオイホノオ』を通読しよう。

圧倒的な熱量を持つ創作物と出会ったとき、しばらくその作品以外のあらゆるものに興味がもてない、という状況が続くことが稀にある。

今ぼくはその状態にいる。

この作品に対して、批評めいたことを書きたい気持ちにもなった。3.11を彷彿とさせる被災映像の数々、ゴジラ殲滅のために選択される、多国籍軍による熱核攻撃、これらは、われわれ日本人に刻まれた魂の記憶を抉る作品なのである、的な。

しかし、こういう批評はさんざんすでに出回りつつあるし、中にはたいへん素晴らしいものもあるので、わざわざぼくが書かなくてもいいだろう。

シン・ゴジラは単純に怪獣映画として最高である。

物語は官邸を中心に進む。政府首脳が、民主主義の手続きを経ながら、日本という国の運営プロセスにのっとって総力を挙げてゴジラという災厄と対峙する物語である。それは極めてリアルに描かれる。その一方で、特撮シーンは最新技術によってリアルに描かれつつも、意図的な演出によって微妙に、あえてリアリティを損ねるように描かれる。

この意図的なリアリティからの逸脱こそが、「怪獣映画の文法」であり「日本の特撮の真髄」を我々に見せつけるのである。

現実世界の自衛隊に配備されているものと同じ装備でゴジラに攻撃が加えられる。富士総合火力演習にカメラを持ち込んで取材した、というその映像はリアリティにあふれている。ところが、その効果音(砲撃音や弾着音)は、ニュース映像でみるようなリアルな音ではない。われわれが慣れ親しんできた「怪獣映画の爆発音」なのである。

圧倒的な迫力で首都東京をなぎ払うゴジラの放射熱線も、ウルトラマンスペシウム光線などを思わせる謎のビーム音とともに放出される。

あげく、ゴジラに最後の一撃を加えるのは 無人在来線爆弾!!! 爆弾を搭載したJRの在来線が東京駅に陣取るゴジラめがけて四方から突撃してくるのである!!!! これぞ特撮!!!! これぞ怪獣映画!!!!!

庵野秀明という人のこの絶妙のバランス感覚はなんなのだろうか。常人が同じことをやろうものなら、だだスベリする事案ではないか。

シン・ゴジラがハリウッド版を凌駕するのは、まさにこの「特撮のさじ加減」があってのことなのである。それは、庵野秀明自身が素顔で演じているのにどうみてもウルトラマンにしか見えない、という伝説を作った男だからこそなしえたことなのである。

帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令 - Wikipedia

2016年に特撮の怪獣映画が観られる。この1点でもって、シン・ゴジラは最高であると断言する。

コミュニティで存在感を高めるために -Scala関西Summit各種募集のお知らせ -

summit.scala-kansai.org

Scala関西Summitスタッフの @daiksy です。

10月8日の開催日にむけ、スタッフ一同いろいろな準備を本格化させています。

昨年に開催された前回のScala関西サミット、今年の1月に開催されたScalaMatsuriと、Scalaの大きなイベントでは非常にたくさんの人が参加してくださいます。ここ数年で大きく成長したScalaコミュニティですが、これからScalaをはじめようとされている皆さんも、遠慮無く参加してさらに盛り上げていきましょう。

Scala関西Summitでは現在、スポンサーとスピーカーを募集中です。募集締め切りも迫っているということで、イベントの宣伝を兼ねてそれぞれをご紹介しようと思います。

スポンサーはコミュニティでの存在感を劇的に高めます

Scala関西Summitでは企業スポンサーを募集しています。こちらは一度、所定の期間を経て募集を終了していたのですが、終了後も企業様からのお問い合わせが続いたため、8月5日まで延期することになりました。

スポンサーセッション枠があるゴールドスポンサーは所定枠が終了しているのですが、シルバー・ブロンズそれぞれの枠はまだ募集中です。

シルバー以上のスポンサーは特設ページにて求人やサービス紹介を行うことができます。

Scala関西 Summit 2016 - スポンサー企業 求人・製品情報

毎年「へー、あの企業さんはScalaを採用しているのか」と声が聞かれたり、実際にScalaプロダクトの求人を探しているエンジニアにピンポイントでリーチできるなど効果の高いページになっていると思います。

昨年、Scala採用企業に転職した スタッフの@hayasshi_ も、転職先企業がイベントに積極的にかかわる様子を見てこの会社で働きたいという思いを強めたとのこと。

OSSプロダクトなどを利用して開発を行うチームにとって、そのコミュニティで存在感や発言力を高めるのは非常に重要なことです。実際多くのScala採用チームが、開発に利用しているプロダクトに積極的に貢献しながら品質を高めています。

Scala関西Summitなどの大きなイベントにかかわるのは、自分たちのコミュニティにおける存在を高めるよいきっかけになるのは間違いありません。

スピーカー募集はお気軽に

スピーカー募集は7月31日までとなっています。

Scalaの大きなイベントでの登壇は、大きなプレッシャーがかかるのも理解できます。しかしScala関西Summitでは、幅広い参加者に楽しんでもらうため、いろいろなジャンルのスピーカーを求めています。

Scalaというと関数プログラミングのイメージが強く、大きなイベントではそういったジャンルの専門的な議論が多く行われているイメージがあるかと思います。

しかし、一方で一般参加者の目線で考えみると、専門的な議論をするためにイベントに来る人ももちろんおられるでしょうが、地元で開催される大きなイベントに参加するのをきっかけに、これからScalaを学び始めようかな、という思いで来場される方も多くいらっしゃいます。

そういった「これからScalaをはじめてみよう」という皆さんから、ある程度使いこなして実践的な話を聴きたいという人まで、幅広い層をカバーするために、我々は初心者から上級者まであらゆる層のスピーカーを求めています。

Scalaを少し勉強して慣れてきたので、これから学ぶ人向けに話しをしてみたいな、という気軽な気持ちで構いませんので、ぜひスピーカーに応募してください。

スピーカーとしての参加もまた、コミュニティに大きく貢献する手段のひとつです。

Scalaコミュニティをさらに拡げるために、我々はみなさんの参加を心よりお待ちしています!!

summit.scala-kansai.org

最近の転職サイトではコミュニティ活動歴なども聞かれる

BarCamp San Diego 2

年に1回くらいの頻度で、暇な時にアカウントを持っている転職サイトのレジュメを更新することにしている。

ちなみに転職するつもりはまったくない。

転職サイトに登録して、自分の情報を最新に保っておくと、スカウトメールなどでだいたいの自分の市場価値を推し量れたりするし、スカウトしてくる企業などからなんとなく業界動向を察することができるからだ。

久しぶりに登録画面を開いてみると「習得言語」の欄にScalaとかGoとかSwiftとか最近よく目にするプログラム言語のチェックボックスがある。ここに入力欄があるということは、こういう言語で実際に求人を出す企業が増えているのだろう。

入力項目を更新しつつ、画面をグリグリスクロールしていくと「自己研鑚」という謎の項目があった。

その項目を見てみると、「個人としての技術情報の発信」とか「技術コミュニティの所属歴」といった項目がある。

最近は転職エージェントでもこのあたりをポイントとするようになったようで、自分がかつてエージェントを使って転職活動をしていた頃とは隔世の感がある。

これを逆に考えると、最近のエンジニアの転職活動はこういった項目への入力が当たり前となっていて、他の求職者との差別化要因にはなりにくくなっている、ということなのかもしれない。

そもそもコミュニティで名前が売れてる人はエージェントなんて使わなくても余裕で転職できるだろうし。

ちなみに、別の大手転職サイトの入力項目をメンテしたときはまだこうのような項目はなかったので、転職エージェント業界もいろいろあるようだ。

胃カメラ恐怖体験 - 鎮静剤が効かなかった話 -

Endoscope Room

先日受診した会社の定期健康診断(人間ドック)で、胃カメラの再検査を受けるべしという結果が出た。

一昨年の人間ドックで、バリウム飲んでもどうせ異常があったら胃カメラだし、最初から胃カメラのんどくかー、と軽い気持ちでやったところ、この世のものとは思えぬ苦しみを味わった過去がある(喉の抵抗が強いみたい)。

そこで、今年はいかにして楽に検査するかを検討してみた。どうやら鼻から内視鏡を入れるパターンがよいらしいが、会社指定の医療センターでは取り扱っていない。他の病院を探すのも面倒なので、できれば会社指定のセンターで受けたい。

さらに調べると、鎮静剤の注射を打つ、というパターンがあるらしい。なんでも、意識がぼーっとしたり、眠っているうちに検査が終わるらしい。なるほど、それは楽そうだ。

鎮静剤というのは別に眠るわけではなく、本人に意識がないがちゃんと起きているそうで、検査後は普通に歩いて回復室まで行ったりするそうだ。なんだかおもしろ体験ではないか、ということで鎮静剤を使用して胃カメラの検査を受けることにした。

今回は楽に受診できそうだ、と思ったので、前回ほどの憂鬱さはなく、むしろ鎮静剤を投与された状態とはどのような体験なのだろうと半ばワクワクしながら病院へ行く。

受付が終わり、いよいよ検査室へ。

横になってマウスピースを装着され、医師登場。左腕に注射を打たれる。

なるほど、これでだんだん意識が遠のいたりするのだろうな、と期待するも、まったく何も変わらない。普通に覚醒しているし意識もある。

あれ? と思っていると、おもむろに口に内視鏡をねじ込まれる。

オゲエエェェェェェェェェ!!!!

待って待って!!鎮静剤効いてないから!!!と訴えたくてもマウスピースが邪魔をしてこちらの意思を伝えられない。

あまりにも明瞭な意識。喉の奥からこみ上げてくる不快感。流れる涙。無感情に検査をすすめる医師と看護師。

つらすぎる!!!!!!!!!!

昔、「5億年ボタン」という話があったが、あのボタンを押した人物は今のぼくと同じ気持なのではないか。今は明瞭に検査の進捗を認識しているけど、これもやがて数分したら記憶から消えてしまうのだろうか、そんな事を考えていた。

けっきょく僕の意識は最後まで明瞭であった。

看護師さんに「大丈夫ですか、歩けますか?」と言われるがなにせはっきり覚醒しているので普通に歩ける。

回復室で1時間休めと言われたが、たんに暇なだけなのでずっとツイッターをしていた。

鎮静剤が効かない人ってけっこういるらしいですね。。。。

次は面倒がらずに別の病院で鼻から入れるパターンにしようと思う。

iPhoneを交換するときには2段階認証に注意

先日、飲み屋でうっかりiPhone6を落としてしまい、画面がバキバキに割れてしまった。

AppleCareに加入していたため、翌日の昼休みに職場近くのクイックガレージに持って行くと、20分ほどで交換が終了。昼休み中に新品のiPhoneになった(お値段は7,800円)。

午前中に職場のMacBook Proフルバックアップ*1を取っていたので、帰社後復元。

ひとしきり動作確認していると、ただ1点だけ復元されていない情報があった。

Google Authenticator である。

Google Authenticatorは、オンラインアカウントの2段階認証プロセスで使われるもので、それぞれのログインアカウントに紐付ける形で時限式トークンを発行するソフトウェアである。

ログイン時にアカウントとパスワードを入力したのち、手元のスマートフォンなどでこの時限式トークンを入力してログイン完了、という按配。

ぼくはGoogle Authenticator による2段階認証をサポートしているいくつかのWebサービスで利用していた。

このトークン情報、iTunesフルバックアップからの復元でも、復元されないのである。

Slackなど、だいたい常時ログイン状態が保持されている場合は、ログインが維持されているブラウザから再設定すれば問題ない。また、サービスによっては2段階認証設定時にリカバリーコードが発行されているものもあり、こちらもおおむね問題ない。

問題があったのは、AWSである。

AWSの2段階認証ではリカバリーコードは発行されておらず、ログイン状態を保持していたブラウザもなく、正直詰んでしまった。

ぼくの場合は仕事で利用しているIAMだったので、管理者に連絡してリセットしてもらうことで事なきを得たが、個人アカウントだとちょっとやっかいなことになっていたかもしれない。

blog.yuukigoodman.net

スマートフォンを交換する場合は2段階認証を一時的に解除するなどする必要がありそう。

ご注意ください。

追記(2016年7月27日)

ぼく自身は未確認だけどこういう情報もあった。

*1:暗号化もしていました

青春の一冊を披露するのはとても恥ずかしい

特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE
http://blog.hatena.ne.jp/-/campaign/pdmagazine

青春っていつからいつまでの事をいうのかな?

高校とか大学の頃、本はたくさん読んだはずなのだけど、強烈に印象に残っている本はあまりなくて、この頃は映画とか音楽とかに影響を受けることが多かった気がする。「人生を変えた映画」「人生を変えた音楽」とかはこの頃に出会ったものが多い。あとはこの時期ってやたらと難解な本や変な本を読みまくってたイメージがある。なんか、そういうのがカッコいいと思ってた時期。

自分の人生に影響を与えた本、となるともう少し遡って、小学生とか中学生の頃に読んだ本は強烈に印象に残っているものがたくさんある。『エルマーの冒険』とかぼくと同世代の人ならたいていよく覚えてるのではないかな?

エルマーのぼうけん (世界傑作童話シリーズ)

エルマーのぼうけん (世界傑作童話シリーズ)

人生で一番最初に本を読んでキュンキュンしたのは『伊豆の踊子』で、人生で最初に本を読んで泣いたのは『若きウェルテルの悩み』。すごく良く覚えてる。どんなシチュエーションで、どんな季節で、自分が何を思いながらこの本を読んでいたか、まで記憶してる。

伊豆の踊子 (新潮文庫)

伊豆の踊子 (新潮文庫)

若きウェルテルの悩み (新潮文庫)

若きウェルテルの悩み (新潮文庫)

どちらも中学1年の頃だ。

あとは筒井康隆にどハマりして読みまくってたのもこの時期。『七瀬ふたたび』を読んで面白くて、その後「エディプスの恋人』を読んで、最後に「家族八景』を読むという七瀬シリーズを変な順番で読んだ。そういえば最近なぜか『旅のラゴス』が流行ってるそうで、それもこの時期に読んだ気がするけどあんまり内容はよく覚えてない。

旅のラゴス (新潮文庫)

旅のラゴス (新潮文庫)

中学の時、いわゆる厨二病的な感性と大槻ケンヂという最悪の組み合わせで彼の本も全部読んでた。『新興宗教オモイデ教』とか今でも時々読み返したくなる。さっきKindle化されてるのを見つけた。

中学2年だか3年だかの時、当時通っていた学習塾で模試を受けた。ぼくは国語の試験が好きで、それは長文読解の問題文ってけっこう面白い文章が多いから、というのが理由なのだけれど、その日に受けた試験の問題文にある小説がでてきた。

人間は仮面をつけて生活せねばならない、という世界が舞台で、その世界である日、主人公が素顔の女の子をみかける。その女の子は仮面を外していて完全に違法なのだけど、それが気になって仕方がなくて...という感じのお話。

試験中だというのにその小説がとても印象深くて、異常に感動して、試験が終わった後もドキドキしながら家に帰ったのを覚えている。

結局、誰が書いたか何という小説なのかが思い出せなくて、ずっと気になっていた。

社会人になって数年経ったある日、mixiのなにかのトピックで、学校の教科書についての議論があって、そこで例の小説についての話題を見かけた。ぼくが通っていたのとは別の学区にある学校で採用されていた国語の教科書に載っている小説だったらしい。

すっかり大人になってからやっと判明したその小説は『素顔同盟』というタイトルだった。

素顔同盟 - 教育出版

ここで全文が読める。

なるほど、とてもよくできたお話だけど、今読んでもあの頃の気持はまったく蘇ってこなくて、寂しい気持ちになった。あのドキドキはなんだったのだろう。

という感じで、思いつくまま「青春の一冊」候補をダラダラと書いてみた。

なるほど、いかにも中学生、という感じのラインナップだ。なんか恥ずかしい。