マネージャーは何が楽しくてやれる仕事なの?

これは「あらたま・いくおのAdvent Calendar 2025」5日目のエントリです。

昨日はyuya moriさんの『「マネジメントやるのもその育成も無理ゲー」を整理する』でした。

ぼくがこのアドベントカレンダーに登録しようと思ったのは、「あらたま・いくおのマネジメントRadio」がとても好きだからです。

ぼくは言語優位・視覚優位なタイプで、耳からの情報処理があまり得意ではなく、Audibleやポッドキャストを聴く習慣はほとんどありません。ですが、お二人のポッドキャストは、仕事柄共感することも多く、自分にとって身近な話題が多いのですんなり聴くことができ、いつも楽しませてもらっています。

お二人のお話を聴いていると、「いつも楽しそうだな〜」と微笑ましい気持ちになります。マネジメントにまつわる話題なので、時にはシビアな話もあるわけですが、そういうときにもあまり深刻さは感じません。きっと日頃の仕事も楽しみながら取り組んでいらっしゃるのだろうな、という気がします。

さて、ではお二人をはじめとする、世の中のマネージャーは、いったいなにを楽しいと感じて仕事をしているのでしょうか。他人のことはよくわからないので、自分がどう考えているのかを、このエントリでは考えてみようと思います。

マネージャーのやりがい・楽しさ......の本音

カジュアル面談、採用面接、1on1、飲み会の雑談、などなどマネージャーという仕事をしていると、あらゆる場面で「マネジメントの醍醐味や面白さはなんですか?」と聞かれます。これまでに何回聞かれたか、正直もう覚えていません。体感では年に50回くらいは聞かれる気がします。そのくらいの頻出質問です。

これだけ何度も聞かれると、回答も定型化していて、いつも自分は次のように答えます。

「マネジメントはテコの作用を効かせる仕事なので、1人ではできない大きな成果をチームとして出せたときの幸福感が醍醐味です」

これはまぁそのとおりなので嘘ではありません。でも少し取り繕った、"よそ行き"の答えです。

大きな成果は、それを得られるまでに時間がかかるし、成果が出たとして、マネージャーの役割からするとどこまで自分が貢献できたのかわかりづらいものです。本音を言えばもっと短期的な成果も実感したい。もっと踏み込んで正直なことを書くと、エンジニアとしてコードを書いていたときに感じていた「ものづくりの醍醐味」よりおもしろい仕事を、実は自分はまだ知りません。

なので、週末になると自分は時々ものづくりの楽しさと、短期的な達成感を味わうためにガンプラを作ります。

これを考えたきっかけがありました。先日、ある人から「会社でマネジメント研修を受講しているのだが、他のマネージャからマネジメントの醍醐味を教わる、という宿題が出ており、回答をもらいたい」という連絡を貰いました。ああ、いつもの質問だな、と最初は「テコの作用で......」と書いたのですが、質問をくれた人が古くから付き合いのある親しい人だったので、ちょっとだけ本音を混ぜたのです。それが、上に書いたものでした。

決してマネージャの仕事がつまらないわけではありません。ただ、コードを書いていたときのほうが楽しい実感は強かったなぁとふと思ったのでした。

ものづくりが遠ざかる

エンジニアから、本格的にマネージャーになってもう8年ほど経ちました。その8年の間でも徐々にマネージャーとしての役割も変化していき、仕事はだんだん複雑になりました。管掌範囲も広くなりました。1つのプロダクトを開発しているチームのマネージャーだった頃は、プロダクトという具体的なものが身近にあり、それをつくり、育てていくというわかりやすい達成感を得られていました。管掌範囲が広がり、複数のチームやプロダクトを横断するような範囲をマネジメントするようになると、そういった"具体的なもの"が遠ざかっていきます。ガンプラのようにわかりやすくできあがっていくようなものは、仕事としては自分の手の中にはもうありません。自分の行動が成果に結びつくまでのリードタイムもだんだんと長くなっていきました。

自分はなぜ、この状況で嫌気をさすことなく働けているのだろう?

マネージャになるぞと思った原点

少し話は変わりますが、自分が社会人になったのは2001年です。もう24年も前のこと。

若い頃は、自分の身の回りでは「IT業界 = 3K(きつい、帰れない、給料が安い)」などと揶揄されていました。

参画する現場はいつも炎上していました。終電までに仕事が終わらないので、職場の近くのマンガ喫茶で寝て、翌朝また出社するという生活をしばらくしていたせいで、今でもマンガ喫茶に入ると気分が悪くなります。

なんとかしないとこの仕事を長く続けるのは無理だ、と当時すがるような気持ちで学んだのがアジャイルでした。

自分がリーダーシップを発揮して、ある程度裁量をもって仕事の計画ができるようになると、徹夜や休日出勤をすることはほとんど無くなりました。案件のめぐり合わせのような運も良かったのだと思いますが、プロジェクトマネジメントの能力も多少備わっていたのでしょう。

自分がアジャイルを学んだり、スクラムマスターであることを自覚して仕事をするようになったりした動機は、「二度と自分や、自分の身近な人を仕事で炎上させない」というものでした。実際、自分の覚えている限りでは自分が直接担当した仕事で大きな炎上は未だに経験していません。そしてその延長線上に、今の仕事があります。

令和の時代になり、さすがに自分が若い頃のような「週末まで家に帰れない」といった仕事はほとんど見かけなくなりました(見かけないだけでどこかに存在しているのかもしれませんけど)。IT業界は、比較的仕事がしやすい業界になったような気がします。こういう環境になったことに対して、自分の若い頃からの取り組みが多少なりとも貢献しているのではないかな、と感じることも時々わずかにあります。

自分がマネージャをやる理由はこれなのでした。

「人々が、いきいきと仕事をする環境をつくり、維持すること」

この状況を多少なりとも実感できることが、「自分の仕事の喜び」なのでした。これが続いていられるのなら、ものづくりは週末にガンプラを作るだけで別にいいや。