社内チャットの「お疲れ様です」とマナーの問題

この記事を読んでいてモヤモヤしたので、思ってることを書いてみる。

上記記事のさらに元なるヨシオリさんのエントリ

こちらで主張されていることは、「お疲れ様です」を省略せよ、と言っているのではない。

チャットは、電話などに比べれば非同期なコミュニケーションではあるのだけれど、メールと比べれば リアルタイム性の強い、「やや同期的」なコミュニケーションツールである。 つまり、チャットにおける「タイピング待ち」の時間は、会話相手の時間を束縛している可能性があるので、そういうタイムラグを極力なくすべきである、ということだ。

エンジニア文化において、チャットなどの新しいコミュニケーションツールを利用する文脈で、時折こういった「マナー」の問題が論じられることがある。 それは、チャットやSkypeなどの新しいコミュニケーションツールが、従来の電話やメールといったコミュニケーションツールとは異なる文脈にあるためだ。

どうも電話やメールに慣れ親しんだ人たちにとって、チャットやSkypeは「人を不快にさせない気持ちが足りない」と思われがちなようである。

Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか

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こちらの『Team Geek』に、"HRT"という概念が紹介されている。"HRT"は「謙虚(Humility)、尊敬(Respect)、信頼(Trust)」の頭文字をとったもので、チーム開発に欠かせない概念として紹介されている。

強いチームはオフィスを捨てる

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『強いチームオフィスを捨てる』こちらはリモートワークについて書かれている本であるが、ここにもリモートワークをうまくやるための秘訣として、メンバーを強く信頼することの重要性が書かれている。

コードレビューや、プルリクエストに対して付与されるLGTMという文化もある。

社内でのチャットコミュニケーション、リモートワーク、ソーシャルコーディング。我々エンジニアは、新しいツールにおけるチーム開発において、HRTを重視してメンバーをお互いに信頼・尊敬しながら仕事を進めるためにあらゆる工夫を重ねて日々仕事をしている。それはマナーの欠落とは真逆で、新しいツールにふさわしい文脈におけるマナー文化を作り出しているのである。

従来の文脈における「マナー」と異なるからといって、それはマナーが欠落しているということではないのではないか、と思っている。新しいツールや方法論には、その文脈における新しいマナーが生じるものではないのかな。