オンライン登壇のノウハウゲット - スクラムフェス大阪で話してきました

スクラムフェス大阪というイベントに参加してきました。

www.scrumosaka.org

プロポーザルを採択いただき、登壇する予定だったのですが、昨今の情勢を踏まえてオンライン開催に切り替わり、人生初のオンライン登壇にチャレンジしました。 今回の発表資料はこちらです。

speakerdeck.com

登壇内容自体は、今年の頭にDevelopers Summit2020でお話したものとほとんど同じだったので、新しくプレゼンを作り直す必要が無い、と言う余力をせっかくなのでオンライン開催ならではの工夫に使おうと思いました。

通常の話者が壇上に立ち、聴衆が並んで座ってそれを聞く、と言うスタイルに比べて、オンライン開催はもう少しスピーカーと聴衆の距離が感覚的に近いと感じています。具体的にはチャットなどのコミュニケーションによってダイレクトに話者に意見を述べることもできますし、手元のマイクをONにするだけで、全員が同じ条件でスピーカーに話しかけることも可能なわけです。

なので、セッション中に引用している資料のURLをリアルタイムにチャットに流したり、チャットでの質問や感想をできるだけその場で拾って講演に組み込んだりすることで、インタラクティブな要素の強い内容を目指しました。

そのためには一点壁がありました。講演資料をKeynoteで作成しており、発表者メモなども仕込んでいたので、どうしてもスライドの投影をKeynoteのプレゼンテーション再生でやりたいのですが、PCに複数ディスプレイを接続しても、ディスプレイが全てプレゼンテーション再生に全画面持っていかれてしまって、チャットを読んだり書いたりできない...。

苦肉の策として、PCを二台並べて、スライド再生用とチャット用と使い分けることにしました。

今後さらにオンラインプレゼンテーションの機会は増えるはずですので、プレゼンテーションツールを実装している各社はこの辺りの対応をお願いしたいです...。

とはいえ、試み自体はうまく行って、リアルタイムコミュニケーション登壇は成功したんじゃないかなーと思います。

聴いてくださったみなさん、ありがとうございました。

大規模なプロジェクトでのアジャイル - More Effective Agileの読書メモ

  • 大規模: 2つ以上のアジャイルチームが必要なプロジェクト
  • 大規模プロジェクトにおけるアジャイルの変更点
    • 創発的な設計 -> ウォーターフォールのように全ての作業を事前に完了させる必要はないが、標準的なアジャイル開発よりも事前に完了させなければならない作業が増える
    • テスト -> 依然として小さなテストの恩恵は受けるが、統合テストやシステムテストの重要度が高まる

コンウェイの法則

  • 大規模プロジェクトで複数のアジャイルチームを構成するには、その分割点がコンウェイの法則にしたがっているべきである
  • アーキテクチャが不充分だと、結局は大規模なシステム全体に精通しないといけなくなり意味がない。
  • アジャイルの隆盛と、マイクロサービス化の潮流のタイミングが似ているのは偶然ではない
  • チームを分割したためにコミュニケーションコストがオーバーヘッドになるくらいなら、諦めてチームを統合したほうがよい。設計に関する技術的な判断と、チーム組織に対するマネジメントな判断とのトレードオフ

コミュニケーション

  • 小さなチームと異なり、全ての情報が口頭伝達でもうまく行く、という期待を捨てなければならない。より多くの作業を文書化しなければならない
  • スクラム・オブ・スクラムミーティングにはスクラムマスターよりもプロダクトオーナーを出席させる方が良いだろう

オンラインのCSPO研修を受講しました

6月8日から11日までの4日間。オンライン(Zoom)で開催されたCSPO(認定スクラムプロダクトオーナー)研修を受講しました。

なんで受けたの?

昨年、自分の所属しているチームでPOの交代という大きなイベントがありました。

自分はチームのディレクターとして新しいPOを迎え入れることを考える必要がありました(ぼくは実はPOではない)。今手掛けているプロダクトにおける、POの役割というのはとても幅広く、いかにして新しいPOの負荷を下げて支援するか、ということを考えた結果、新しくPOチームを作ってPOを支援する体制を作ることを決めました。

POチームを運用する中で、当然様々な課題が発生するわけですが、POの目線に立って書かれた良い書籍などになかなか巡り合えず、学習にとても苦労しました。そこで、いっちょCSPOを受けてPOを支援するための学習をするか、と思い至ったのです。そのうちPO本人にも受けてもらいたいな、とは思っています。

どうだった?

実は最初に申し込んだのは世の中がこうなる前だったので、元々東京の研修会場で受講する予定でした。その後、情勢が変わり、何度か延期されたあとでオンライン研修に切り替わりました。

以前受講したCopeさんのCSM研修の印象がとても強かったので、正直オンラインでの研修に不安はあったのですが、スタッフさんのご尽力と神アレンジによってオンラインでも大変素晴らしい経験ができました。

オンライン開催だったので、終わった後にお酒を飲みにいく、などの流れになりませんから、明日の予習とか1日のメモをまとめたりだとか、集中して学習できた、という気がします。一方で、他の受講者とのコミュニケーションが少ないので、議論に発展する部分が少ないなーという寂しさもありました。ただ、最終日に急遽参加者が集まるdiscordサーバーが立ち上がったので、この後時間を見つけて議論ができると良いなと思っています。

4日間とても良い学習ができました。

夕会, Discord, ワーキングアグリーメント - フルリモートワークになって以降チームに取り入れたもの

チーム全員フルリモートワークになって間も無く2ヶ月になろうとしている。 この傾向そのものは今後段階的に弱まっていくだろうが、リモートワークの取り組みは以前よりも促進されていくのだろう。

元々自分のチームは新しい取り組みに前向きなチームで、いろいろなチャレンジをこれまでにもやってきたが、この2ヶ月はさらにハイペースで様々なチャレンジを行ってきた。この2ヶ月を振り返って、その取り組みを書いておこうと思う。

夕会を新しく導入

チームではこれまで、昼の休み時間明けにデイリースクラムを担う昼会をやっていたが、これに就業時間直前の30分の夕会を取り入れた。 任意参加で、雑談をするための会。毎日時間になるとSlackにチャンネルにGoogle MeetのURLが流れてくる。

オフィスワークがゼロになり、これまでオフィスに集っているメンバー同士の雑談がなくなったことを補うのが目的。 ただ、これまでにも同様の試みは何度もしているが、雑談という意味ではあまりうまくいかない。最初はみんな物珍しさもあって盛り上がるのだが、1, 2週間もすると取り立てて話題もなくなり、無言で誰かの打鍵音を聞き続ける30分間になる。当然だ。毎日決まった時間に「さぁ雑談をしなさい」と言われて毎日雑談できる人などいるわけがない。

しかしこれで別にいいと思う。夕会が終わったから今日の仕事を終えよう、という1日のメリハリになるし、いつもは静かでも日によっては雑談が盛り上がる日もある。 夕会の最後に、そこに集まったメンバーで「今日もお疲れさま」の一言があるだけでこの会は意味があると思っている。

Discordを導入

チームではSlackを使ってチャットコミュニケーションをしている。声のやりとりをしたいときはSlack Callなどを使っていたが、これをDiscordにした。 Discordは、誰がどのRoomで会話をしているかが一望できる。誰かが画面共有してペアプロをしているな、というのもチャットの外からわかるので、ちょっと覗きにいくか、という振る舞いも可能だ。 つまり、オフィスにいた頃の、あっちの方で誰かが何かをやっているから様子をみにいこう、というような行動を擬似的に再現できる。

最初は全員参加ということで始めたのだが、当然ボイスチャットに邪魔されずに集中したい、という人もいるので以下のルールとした。

  • Discordへのジョインは「今なら声をかけてくれても大丈夫」という表明。なのでDiscordに接続している人には突然声をかけても良い
  • ペアプロやペアオペレーションをDiscordでやると、外から興味ある人がやってきたりしてお得

ワーキングアグリーメントを導入

リモートワークはオフィスワーク以上にメンバー個人に大きな裁量が与えられる。別に仕事中に少し手を離して洗濯物を取り込んだり、夕飯の仕込みをしたって構わないわけだ。チームとしては、スプリントゴールを達成すれば途中のプロセスは別に問わないわけだが、そうはいってもチームとしての体裁を保つためには強制力を伴う取り組みは必要だ。お昼ご飯を食べた直後に食休みをしたい、と思っても、昼会の時間がくればそれには参加してもらわないと困る。ただし、昼会の開催時間がチームメンバーの多くにとって好ましくないのであれば、変更したりしても良い。

こういったルールを明文化し、チームの合意を明確にするためにワーキングアグリーメントを作った。Scrapboxに、参加必須の定例会のスケジュールやチームのレビューフローなど、これまで暗黙のルールとなっていたものを明文化する。それはスプリントのふりかえりのタイミングで毎回見直される。

リモートワークになって、チームとしてはそれを乗りこなすための様々な工夫をやっていきたい。だが、勢いよくいろいろなチャレンジを導入するのはいいが、中にはそれを好ましくないと思う人だっている。そういった賛否の声をきちんと集約し、議論の上でチームで合意するためにワーキングアグリーメントがとても大事だと思ったので導入した。

導入のきっかけは前述のDiscordだ。ぼくが独断で導入して全員参加を呼びかけたが、参加必須であることは好ましくないという意見をもらったため改めてワーキングアグリーメントとして明文化して議論の上運用ルールを調整してチームの合意とした。

こんな感じでこの2ヶ月はいろいろな試行錯誤をしながらこの状況を過ごしている。

リモートワーク時代の今だからこそ、ワーキングアグリーメントを意識したい

ワーキングアグリーメント(Working Agreement)をご存知だろうか。

チームにはさまざまな暗黙の了解がある。たとえば、毎日14:00から昼会(デイリースクラム)をしますよ、とか、実装に着手する前にデザインドキュメントをこのフォルダに作ってレビューに出しますよ、とか、そういうやつである。

ワーキングアグリーメントは、こうした暗黙の了解を明文化し、チーム全員で合意を得ることを言う。

slide.meguro.ryuzee.com

スクラムチームは、メンバーに自律的に振る舞うことを要求する反面、メンバーに非常に大きな裁量が与えられる。メンバーは基本的に与えられた裁量の範囲であれば、プロダクトのゴールを達成するために何をしてもよい。しかし、我々はチームとして仕事をしているわけなので、チームとしてアウトプットを出すためには個人の自由を制限するようなルールも必要である。たとえば、いくらメンバーがお昼ごはんを食べた直後は食休みをしたい、と言っても、チームとして昼会が定められているのではあれば、それに出席しなければならない。

このようなルールを、チーム全体でひとつずつ決めたり、見直しをしていくのが、ワーキングアグリーメントだ。

昨今の情勢で、世の中は大きくリモートワークに舵を切った。在宅ワークは、オフィスでの仕事以上に各人の裁量が大切になる働き方である。だからこそ、ワーキングアグリーメントを丁寧に決めてチームとしてのまとまりを整えておきたい。

緊急事態宣言中に飲んだビール

行きつけのビアバーに行けなくなり、家でビールを飲む機会が増えた。

在宅勤務で論理的に退社した瞬間、通勤のインターバルを挟まずに瞬時に飲み始められる生活は嫌いではない。 こういうときに、大手のビールをごくごくと勢いよく飲むのも大好きだが、少しこだわってクラフトビールにも手を出したい。

お酒は外で飲むほうが好きなので、冷蔵庫には長期熟成を前提としたようなバーレイワインを置いておくことはあっても、クラフトビールを家で飲むのはあまりやらなかった。

しかしこのご時世で、これまで樽の出荷のみだったブルワリーもボトルや缶の販売を開始したりして、最近は冷蔵庫に満杯のクラフトビールが入っているのを眺めてニヤニヤするのが楽しみになってしまった。

緊急事態宣言中に飲んだビールを書き残しておきたい。

箕面ビール

www2.enekoshop.jp

言わずとしれた日本を代表するクラフトビール。 W-IPAはぼくをクラフトビール好きに引きずり込んだきっかけとなったビール。

MARCA BREWING

marcabrewing.stores.jp

大阪の堀江にあるマイクロブルワリー。 最近はIPAのようにホップの効いた、味のはっきりしたビールが流行りだが、MARCAの味のまとまりの良さは軽くて飲みやすいビールで真価を発揮する、と個人的に思っている。特に5周年記念で醸造されたピルスナーはマイ・オールタームベストのピルスナー

奈良醸造

narabrewing.shop-pro.jp

奈良の大学に通っていたので、奈良にはとても親近感がある。 奈良醸造のビールには、セットでCDジャケットを思わせるカードが作られるので、樽を提供するお店なのに「ジャケ買い」みたいな楽しみができる。 缶を購入すると、その「ジャケット」がちゃんと一緒に送られてきて最高。

京都醸造

Bottlekyotobrewing.com

ここも説明不要の最強ブルワリー。 2015年の三条地ビールまつりでお披露目され、ぼくも幸運にもそれを飲むことができたのだが、あまりの旨さに驚愕した。 ベルジャン酵母がよく使われる。

これまで、絶対に作らない、と言っていたラガーの醸造に取り組むらしく、めちゃくちゃ楽しみ。 そして、その醸造の経緯に至ったブログエントリは必読。

kyotobrewing.com

うちゅうブルーイング

uchubrew.shop-pro.jp

販売開始数秒で売り切れるので、購入時の争奪戦が「うちゅう戦争」と呼ばれる激レアビール。 樽の出荷が減り、ボトルの出荷本数を増やしているそうで、以前より買いやすくなっている。それでも数分で売り切れるけど。

忽布古丹醸造

hopkotan.theshop.jp

北海道のビール。あまり関西で見かけないので、今回はじめて飲んだ。

また北海道行きてぇなぁ。

サッポロ黒ラベル

また北海道行きてぇなぁ。

他にもいろいろ飲んでる気がするけど、ぱっと思いついたのを書いておいた。

緊急事態宣言とリモートワークの暮らしについての雑感

緊急事態宣言を受けて、チーム全員がアルバイトさんも含めてフルリモートワークになった。大きく日々の暮らしも変わったので、現状のスナップショット的な雑感を書いておきたいと思う。

ぼくの所属するチームは、ぼくが入社した頃からすでにリモートワークへの対応がなされていた。当時、在宅勤務のメンバーが1人いたし、東京オフィスと京都オフィスにそれぞれメンバーが在籍するチームだったので、日常におけるワークフローはリモートですべて実行できる形になっていた。

カンファレンスでリモートワークについての知見を共有するような発表も何度も行ったし、自分たちはリモートワークという仕事のやりかたをそれなりに乗りこなしている、という自信があった。しかし、今の緊急事態宣言下におけるフルリモートワークは、少しばかり勝手が違うことに気づく。

まず、チームメンバー全員が在宅勤務が可能な環境であるとは限らないことが大きい。たとえば、フルリモートワークに完全に舵を切っているチームであれば、メンバーは自宅に机、椅子、高速なインターネット回線など仕事をするための環境を自宅に整えているだろう。チームの採用にしても、リモートワークを前提とした選考を経て配属がなされているはずなので、メンバー全員が覚悟をもってリモートワークに取り組めるはずである。しかし我々はそういうチームではない。

人によっては在宅勤務を前提とした雇用になっていて、自宅に設備も整っていたりもするが、メンバーの中にはオフィスワークを前提に身の回りの環境を整えている人もいる。そういう各々の環境や考え方にグラデーションのある状態のフルリモートワークは、長期化すればするほど難しい。かくいう自分も、スポットで自宅で仕事をすることはあっても、平日の多くはオフィスで仕事をするつもりで暮らしているので、仕事用の机や椅子などの用意はない。かろうじて、オンラインゲームを快適に遊ぶための高速なインターネット回線が功を奏しているという感じ。

とはいえ、緊急事態宣言が発令されて、その少し前くらいから、チームメンバー全員のフルリモートの体制を整えよう、という決断をし、SREを中心として環境の構築にとりくみ、素早くフルリモートへの移行が完了できたことは誇って良いと思っている。以前からワークフロー自体はリモートでの実行が可能であったこともそうだし、とりあえずやってみて、なにか困ったことが起きたら、その都度解決しておけばよい、というスタンスで日々さまざまな困難と向き合っている。たとえば、アルバイトメンバーは社員に比べて自宅からアクセスできる範囲にかなり強い制限があるが、それならそういうものと割り切ってアクセス可能な範囲内でできる仕事をしてもらえばよい。

メンバーにしても、たとえば子育てや介護など、さまざまな事情により、これまでオフィスに通っていたときとは異なる仕事への関わり方にならざるを得ない場合もある。それも、それならそういうもの、として仕事の割当ややり方を考えればよい。この状態はおそらく長期化すると予想しているので、この1ヶ月無理して乗り切る、という考え方ではだめで、いかに長期間に渡って持続可能なペースを見つけるか、ということが重要だと考えている。いちおうマネージャーとしては、チームの生産性指標(d/d/dなど)を、フルリモートワーク前と比較できるように計測しはじめているのだが、これはあくまでも自分たちの状態を把握するために測っているのであって、フルリモート前と同一の数値を維持することは目的としていない。当然差が出るものと思っている。その差を正しく捉えて、自分たちの状態を把握し、今の自分達に何ができるかを考えるための指標として扱うつもりだ。

ちなみにワークフロー自体は以前からリモートワークに対応していることもあり、プロダクトの運用そのものに大きな懸念はない。いい機会だから、全員フルリモート体制化における障害対応の演習をしてみましょう、と計画したりしている。

毎日ちょっとずつ、今までになかったいろいろな発見や課題があるが、別にフルリモートでなくても日々課題はあるものなので、いつもと同じ仕事として取り組んでいこうと思っている。