技術をアップデートするということ

photo by Sailing "Footprints: Real to Reel" (Ronn ashore)

明日の親類の結婚式に備えて、美容室へ行こうと思った。ところがいつも行く美容室がいっぱいで、今日はもう予約が取れないのだという。とはいえ、明日は朝が早いので、どうしても今日のうちにカットをしたい。というわけで、数年ぶりにいつもと違う美容院へ行くことになった。

行きつけの美容室は、僕が高校の頃から通っている店だ。一時期、仕事で1年ほど東京に住んでいた時期があって、その時期を除いて基本的にこの美容室にずっと通い続けている。もう20年ほどの付き合いになるだろうか。

せっかくいつもと違うお店に行くのだから、少し冒険してみようと思い、若い美容師のいる新しいお店に行こうと思った。家の近くに最近オープンしたお店があるのを知っていたので、そこを訪ねると、14時からなら予約を取れるというのでお願いすることにした。

予約の時間になり、カットを初めてもらってとても驚いた。シャンプー台をはじめとしたお店の設備が、自分の知っているそれとはまったく違っている。美容師さんのカットの技術も、当然いつもやってもらっている美容師とは全然違う。

もちろんお店の個性という側面もあるだろうし、新しいお店なので機材に用いられている技術や、美容師が学んでいる技術も新しかったりするのだろう。

今の会社に転職して半年ほどになるが、毎日のように若いエンジニアのスキルに感銘を受ける日々を送っている。 同じ会社で、同じ仕事をし続けていると、なかなか自分のスキルセットをアップデートする機会はない。だからこそ僕らは、勉強会やコミュニティで他社のエンジニアと交流することで、自分のスキルを定期的に棚卸ししたり、更新したりする必要があるわけだ。

僕の行きつけの美容院だって、何もしていないという事はないだろう。設備は定期的にメンテナンスをしたり、入れ替えたりしているはずだし、美容師だって新しい技術を学んでいるはずだ。とはいえ、固定客がついているああいうお店は、急激にお店の雰囲気を変えるわけにもいかないだろうし、変化は緩やかであるのかもしれない。そこへ来て、今日の僕のようにふと違うお店に行ってみたりするとその違いに驚いてしまう。

僕たちの技術にも同じことが言えるような気がする。特に新しい会社に入って、「技術をアップデートする」ということに過敏になっていたから、余計にそう感じるのかもしれない。

年齢を重ねるにつれ、常に若い人と同じ事をし続けるのは無理なのはわかっている。けれど、立ち止まっていても仕方がないので、出来る限り「新しさ」から逃げないようにしていきたい。

髪を切られながらそんなことを、ずっと考えていた。

僕はきっと、次も今日の美容室に行くと思う。